帰省したら、父は、年老いていた。
ママ子の父親は、「昭和のオヤジ」として、ちょっとソフトなバイオレンスな一面もあったが、今思うと、愛情深い、優しい父。
子を持つ親として、今は、やっと、そんな風に思える。
序:受験シーズン。
1年前の中学受検不合格の事を鮮明に思い出す事もあって、気が滅入るシーズン。有名中学校に合格した同級生と連絡を取り合っているhanaが、どんな思いでいるのかはわからないけれど。
幸せに過ごしてくれていることが、ママ子は一番有難い事なんだ、って思う。
・・・
「中学受験失敗したのは、ママ子のせいだという事を思い出してくれ」
「中学受験は親の受験ですからね。」
「次女が犠牲になってるからな。早く救ってやらないと本気でグレるぞ」
あーもう。毒がまわるよ、アンタ。
今日は、ママ子の父親の話。
帰省したら、急に尊い事を言いだして、少し切なくなりました。
お別れが近くなるって、こういうことなの?
年に1,2回しか会えない実の親。
ママ子は、田舎の出身だもんで、お盆や正月にしか帰省できない。
ママ子は、キョウダイとはとても仲が良い。
もうね、同志のような、戦友のような間柄。
死ぬほど怖かった父親に対しての「その他のメンバーの団結力」がハンパなかったので。
だから、帰省するのは楽しみなの。
ママ子の母親も、ポヤンとしたお嬢様育ちで、
ガールズトークが大好きなので、帰省するとワチャワチャすんの。
ママ子は、それでも、家を出てから何十年も経っているので、
実家に帰っているのに、自分の家じゃないような、不思議な気持ちに陥ることもある。
すでに、ママ子のキョウダイが相続している家だったり土地だったりするもんだから(←ママ子の実家はチョットだけ金持ち…ちなみにママ子は家を出て嫁に行ったので相続権ゼロ…ワハハ…)、
なんだかぎこちない。
かつて、自分の家だったのにね。
当たり前のように生活していた場所なのに、
今では、もうあたしの居場所は無くなったなぁ、
って改めて思ったりして。
嫁に出るってのは、そういうモンなんだよな。
帰省するたびに、小さくなっていく父と母
そして、昔、死ぬほど怖かった父が、いつも明るい母が、
帰省するたびに年を取って、小さくなってく。
全部白髪になったのは、何年前からであろうか。
首がシワシワだなあ。
いつのまにか、
父のバレリーナのようにしなっていた足の筋肉が、無くなっている。
細いなあ。
気が付くと、親の年老いていく姿を寂しく思うような年齢になったりして。
厳しい父親が、ママ子の帰省を笑顔で迎え、そして、笑顔で見送ってくれる。外に出て、手を振ってくれる。
「あたし・・少しは愛されてたのかな」
そう思うようになったのは、結婚して、子供を産んでからだったのかもしれない。
実父の、孫への対応
うちの父親は、
内孫を極端に可愛がっているので、ママ子の子、
すなわちhanaとnanaのことは、
よそ様の家の子のように扱う。
とても可愛がってくれるけれど、距離感がある。
もちろん、冷たくはされないが、父はいつも、遠慮がちに話す。
「もうお嫁に行って、パパ男クンの家に入ったんだから、
ママ子に里心が出ないように」という配慮だと、
ママ子の実母が言っていた。
孫から見たママ子の実父⇒面白い人
ママ子としては、
思春期の頃から自分の家を出され、高校からは別の場所に住んでいた事もあって、
「親にとって、家族にとって、ママ子はいらない存在なんだ」って
勝手に思い込んで精神を病んだ事もあるんだけど、
結局ママ子は、その経験があったからこそ、
子供達を大事に、
愛して愛して真正面から子育てができるんだ、って思う。
うちのhanaとnanaも、懐くことは無いけれど、
「おじいちゃん」の事は、
「恐いけどちょっと面白い人」だと思っている。
さすがにママ子の父親であるので、笑いの神が下りる事があるのだ。
会話だったり、行動に、どうしてもユーモラスな装飾が施される。
意外と、その面白さが、hanaとnanaにはツボるらしい。
急に、父親の言葉が尊くなった。
そんなママ子の父親が、ここ1,2年、妙に尊い事を言いだすのだ。
夜の晩酌では、テレビを見ながら強気で世界経済やら政治の事を我が物顔で話してばかりだった父が、
ふと「ナーンカ、心に沁みる良い事」を言い出すようになってきた。
実父:「オレぁ、仕事で色々見て来たんだけどなぁ、
ママ子の父の金言
人の人生っちゃあ、苦労する事と良い事って
同じぐらい起きるもんなんだ。
だけどな、何故か若いうちに苦労して頑張っていると、
その後の人生に起きて来る良い事が、
少しだけ多くて大きいように思うんだよなあ。」
父は、遠くの方をみて、そんな事を言った。
ママ子にとっては、今思えば金言である。
今だから、わかるよ、その言葉の意味が。
若い頃は、やっぱりママ子、バカだからわからなかったよね。
父親との昔話は矛盾がいっぱい。
実父:「お前があの時、〇〇の夢を諦めちまうと思わなかったよ。
頑張って欲しいと思ってたんだけどなぁ」
う、うぇええ?
ママ子:「えぇえ?そんなこと、お父さん、全然言った事なかったじゃん。」
実父:「そんなもん、親のオレが言ったってしょうがねえよ。」
就職浪人したら殺されると思い込んでいたママ子は、
まさかの父親の本心を、
20年以上も後になって聞かされる事になるとは。
父も、ママ子に厳しくしてたことなんて、忘れてるし、
ママ子も、恐ろしさのあまり、父に対して異常な感覚で接していたのかもしれない。
父との昔話は、かみ合わなかったが、楽しかったし、嬉しかった。
実父:「あんまり厳しくするなよ」って、おーい!
実父:「お前の子だったら大丈夫だ。立派だぞ。そんだけ頑張れるんだ。認めてやれ。あまり厳しくするんでないぞ。」
おいおいおい、ママ子のお父さんがそれ言うか?!
参考: 父親の存在。
ずっこけた。だけど、
ママ子の子供達を、立派だと。
そんな風に言ってくれた。
ママ子の事は「どうしようもない娘だ!!」などと罵倒していたのに・・・
「お前は最低の娘だ!!」などと殴る蹴るされた日々を思い出すと、
胸が痛いけれど、父は、私を可愛がってくれた。
それは、ママ子にもわかるんだ。
色々な場所に連れて行ってくれたし、毎週、必死こいて私たちキョウダイを連れて行っては、色々な経験をさせてくれた。(←無理やりやらされて苦痛な事もけっこうあったけどw)
父なりに、必死で子育てしてた。
父親なりに、必死だったのだ。
少しでもママ子たちキョウダイに、良い経験をさせようと。
きっと、大変な努力をしてくれたであろう。
もちろん、愛されていたのは、わかってたんだと思う、
当時はママ子のメンタルが潰れちゃったけど、
でも、父の必死な子育ては、ママ子達キョウダイには伝わっている。
だから、ママ子のキョウダイは、ママ子以外、みんなまともで立派だ。
親の呪縛から逃れられない?
そんなママ子、親孝行がしたいって思ってる?
もしかしたら、
我が子を高学歴にして、自分の父親を喜ばせたいと思っている?
そういう、小さい頃に叶えられなかった親の思いを、
今度は我が子に背負わせようとしているの?
そんな思いがあるんだろうか。嫌だ。そんなのいや。
結局は、ママ子はいつまで経っても、親の呪縛から逃れられないのかもしれないと、そんな風に不安に思う事もあるけれど、
ママ子は我が子に無理をさせたくないし、
子供が「やりたい」という事を応援したいと言う気持ちが強い。
潰れないで、って思う。
hanaとnanaには、潰れないで、幸せに生きて欲しい。
それだけは忘れない。絶対にあたしの二の舞にさせない。
子供達の幸せがママ子の願いだから。
それだけを考えて、子育てをしていかなくちゃいけないって、
改めて思ったんだ。
父親は、、すごく優しくなっていた。
父と、初めて、「親」としての会話ができたママ子であった。
尊い事を口にして、なんだか、寂しそうに遠くを見たり、
優しい笑顔でうつむいたりして、
ママ子は、涙があふれて来るのを、必死で我慢した。
やっぱり、父も、「親」として、いっぱい葛藤してきたし、
バブル期の仕事は、すっげー大変だっただろうし。
必死で生きて来たのかな、って。
ママ子にとって、とても大切な、貴重な、
一生忘れられない宝物の時間となったのでありました。
コメント
こんにちは。
久し振りに来て、読んで、泣いてしまいました。
わたし自身も、子供たちには厳しいと思います。
よその家はこんなに厳しくないよ!って、何度も言われました。
いや~、何度も何度もです。
勉強面ではなく、生活面です。
うるさくうるさく言うのは、ちゃんとしていて欲しいから。
でも、願わくば、この子たちが親になった時にその子供に伝える時には、今のわたしよりも優しく伝わってくれ、なんて勝手なことも思います。
去年のこの時期、わたしもすごく辛かったんです。
一年前のあの光景を鮮明に思い出すんですよね。
目が覚めたら合格発表の朝で、不合格だったのは夢で、今から合格発表を見にいくんだっけ?って寝ぼけながら起きたことも数回ありました(笑)
だけど今は、本当に心から「こっちで良かったね~♡」って言ってます。
日曜日にもその話をしちゃいました。
ある競技会の会場で、チビと二人で歩きながらです。
勉強も運動も、極めるまでいかなくても上を目指したいのなら負担に思うこと、諦めないといけないことってあると思います。
まだ中学生だから、こっちを取るべきって分かっていても遊びたい、テレビ見たい、撮った写真を見たい、ってありますよね。
hanaちゃんも、勉強は好きなんだけど今すこしだけ他のことがしたいって思っていて、そんな自分に罪悪感があるんじゃないか?って思ってしまいました。
ママ子さんのいないところでパパ男さんにちょっと甘えてみたんじゃないかな、って。
口に出すことで少し気が晴れるといいな、って思います。
・チビの母さま
お久しぶりです~!
私の気持ちを、痛いほどわかってくださって、ありがとうございます。
チビの母さまも、苦しかったんですね。
一年経つと思うと、やっぱり思い出します。鮮明に。
試験当日の、合格発表当日の、あの、身を切られるほどの苦しさは、今でも昨日の事のようです。
チビちゃんも、本当に良い中学校生活を送っているんですね。
だから「こっちの中学校で良かった」って、思えるんですよね。あんなに頑張ったんだもん。きっとご褒美ですよね。
チビの母さまのお仰るとおり・・・hanaは、パパ男だから、口に出せたんですよね。「もう疲れた」と。
ママ子には、決して言わないと思うんです。
塾に行くことも、家計を気にして、大変だろうに文句も言わず通っているし、辛い気持ちはつのっていたんだと思います。
>ママ子さんのいないところでパパ男さんにちょっと甘えてみたんじゃないかな、って。
うんうん。
そういう心の休憩所がパパ男で良かったな、って思います。
ママ子も、そーとー厳しいです・・・
生活面も・・・ママ子の場合、勉強も、きっと、厳しいんだと思うんです。
お恥ずかしいですが、やっぱり「ちゃんと」育って欲しい。チビの母さまのお気持ちがとても良くわかりますよ。
母親業は、やっぱりまだまだ続きますね。
接する方法は違っても、やっぱり、心配したり、ジリジリする気持ちだとか、切ない気持ちだとか、どんどん増えていくような気がします。
お互い、頑張りましょうね。
チビちゃんのこと、ずっとずっと、応援しています!!